読書記録

すきな本の紹介、感想を書きます。恋愛、友情、家族など人間模様を描いた小説がすきです。

盲目的な恋と友情

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

単行本が出たとき図書館で借りて読んで、衝撃で。最近文庫本が出て、買うつもりはなかったんだけど…やっぱり気になって買っちゃった。表紙も素敵だし。タイトル通り、まさに盲目的な恋と友情のお話。


蘭花は茂実に盲目的な恋状態で、女友達の人間関係にはあんまり興味ないというか、疎い感じ。世間知らずっていうか。自分がめっちゃ美人なことにも気づいてないのか、周りにどう思われるかみたいなことを考えてない感じ。でも美人だし賢いし、性格も素直だからみんなに好かれてる。

留利絵は逆に、外見のコンプレックスが強くて、周りから自分がどう見られてるかをいつもすごく気にしてて、自意識や自己愛も強くて…なんていうんだろ、こういう子いるよね。その子の言動には、周りがぽかんとしたあと「え?ああ…そうだね」って言うしかないような、ちょっと引いちゃうような、そんな子。そういう場面がいっぱい出てきて、リアルだなって思った。この感じ、女の子にしかわからないのかもしれないけど…

留利絵の蘭花に対する思いは、友情なのかな?盲目的な友情ってこういう感じ?蘭花は周りに何を言われても茂実のことしか見えてなくて、茂実の悪いところもいいように見えちゃってたけど、留利絵は自分のことしか見えてない気がした。蘭花に夢中なんじゃなくて、『蘭花みたいなかわいい子と一緒にいる私』にいつも意識が向いてる。

ほとんど同じ話を語ってるのに、蘭花と留利絵では物事の捉え方や感じ方、同じ人物に対する印象もまったく違って。留利絵の気持ちは、理解できないことが多かった。何でそんな捉え方しちゃうの?何でこんな発想になるの?って。あと顔にコンプレックスがあるのに、化粧とか服装に気を使わない子の気持ちがわからない!蘭花にも共感はできないけどね。こんなに誰かに執着したことないな。

主な登場人物の中では、美波が一番常識人だったな。留利絵にはなぜかすごく嫌われてたけど、羨ましい気持ちの裏返しなんだろうな。男女構わず人間関係うまくやれて、友だち多くて、何より蘭花に信頼されてて。なぜか、美波が私を意識してる、って思ってたけど、勝手にライバル視してるのは留利絵のほうで。

留利絵は蘭花の唯一の親友になりたくて、でも蘭花は留利絵のことを、たくさんいる友だちの1人としか認識してなくて。それはちょっと悲しかったな。でも親友って、1人じゃなくてもいいもんね。美波と3人で仲良くできれば、留利絵ももっと楽しくやれたと思うんだけどな。

ラストは途中で思ってたのとは違って、蘭花の気持ちがよくわからなかった。もうどうでもいいやーって感じ?それとも、留利絵に恩義を感じてたのかな?

でも留利絵は最後まで留利絵だった。友だちの結婚式を自分の晴れ舞台みたいに思うのって、どういう発想なんだろ…でも留利絵が目指してきたのは『蘭花の親友』だからね。自分が結婚することは、考えないのかな。

ちょっといらいらもやもやして、ちょっと悲しくなるお話でした。ハッピーエンドではないね。でもいろいろ考えながら、夢中で読みました。次は幸せなお話が読みたいな。