読書記録

すきな本の紹介、感想を書きます。恋愛、友情、家族など人間模様を描いた小説がすきです。

ガールファイト

赤×ピンク (角川文庫)

赤×ピンク (角川文庫)

桜庭一樹さんの中で最初に読んだ本で、やっぱりいちばんすき。みんなに共感して、これ私かもって思っちゃう。ガールファイトで闘う3人の女の子のお話。

🌸“まゆ十四歳”の死体
わたしはもともと、そんなに生命力が強いほうじゃないのだ。それにとてもこわがりだ。生きることそのものに偏差値をつけたら42ぐらいしかないんじゃないかと思う。

ただ奇妙な浮遊感があって、もうすぐ死んじゃうようなへんな予感っていうか希望っていうか、そういうものとともにわたしはここに、陸の海月みたいに漂い続けてる。


まゆの生命力の弱さとか、なんとなく死んじゃいそうな気持ちとか、愛したい、愛されたいけどよくわからない気持ちとか…全部に共感してしまう。
自分でははっきり言葉にできないふわふわした感情が明文化されてて、なんか感動した!女の子ってみんなこんな感じ?

🌸ミーコ、みんなのおもちゃ
わたしにはわかるんだ。初対面でも。その人がどうしてほしいか。なにが見たくて、きたか。
そんなふうに、あなたが必要だ、なんて言われたら、また期待に応えたくなる。演じ続けたくなる。そんな自分を激しく憎んでしまう。

周りの期待に応えすぎて、誰が好きか、どうしたいか、自分がわからないミーコ。ミーコにも共感した。私はこんなに頭よくないけどね。
まゆの幼少期もだけど、ミーコの山茶花のシーンも印象的。やっぱり子どものころの経験とか家族との関係って、大人になってからの性格とか生き方にもすごく影響するよね。
ミーコとか周りから見たまゆのことも書かれてて、まゆはずっと自分の中でぐるぐるしてるけど、その不安定さは周りにも伝わってて、気遣われてるんだなって…
皐月がかっこいい。低い声で「大丈夫か」って言ったり、コーラ開けてくれたり。こんな子にそばにいてほしいな。

🌸おかえりなさい、皐月
わたしは愛とか友情とかいっぱいの、無人島にいた。

やっぱり皐月かっこいい。でも皐月も悩んでることがあって。その悩みは私が共感できるものではなかったから、うーん…感想難しい。千夏と出会えてよかったと思う。ずっと誰にも言えなかったことを話せて、前に進めたから。千夏との闘いのシーンとかもすき。女嫌いって言っても、結局女の子にやさしい皐月がすき。


「わたしは、きれいなところじゃなくて、汚濁にまみれた場所で。この世の果てみたいな、暗くて恐ろしい場所で。戦いたいの。血を流したいの。そして死んでしまいたいの。どうしてもよ。だからここにきたの」

女の子たちはみんな、生きていくために、自分を知るために、格闘技をしてて。桜庭一樹さんの描く、女の子のお話がすきです。この他には『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』とか。どうにもできない現実や不安と戦ってる女の子たち。最近謎に疲れてて、久しぶりにこのお話の世界観に浸ってしまった(。・ω・。)